非常時に園児の命を守るために。

ソラーナ施設長を対象に、保育現場における危機管理意識を高める研修を行いました。
講師は、フィロスの保育力向上にご尽力いただいている小寺香代子先生です。

「池田小学校事件」を振り返る

前半は、2001年に大阪の小学校で起きた「池田小学校事件」がどんな事件だったのかを改めて振り返りました。
小学校に侵入した元死刑囚の宅間守が無差別に小学生を殺傷するという、前代未聞の衝撃的な事件で、児童8名が死亡し、児童13名・教諭2名が傷害を負いました。
精神的なトラブルを抱えた不審者による無差別殺人ではありますが、学校側の対応不足が問題視され、学校や幼稚園保育園における不審者対策はこの事件以降大きく変わりました。
関係者以外の人間が学内に入ってこられる状態であり、しかも職員が事件直前にすれ違っていた。
学内に非常事態を伝える非常ボタンの元電源が切れていた。
状況把握や職員連携ができていなかったために被害児童の救助が大幅に遅れた。
職員が児童の搬送先病院を把握しておらず、保護者が自力で病院を探し回ることになった。
被害を少なくできたポイント、事件を回避できたかもしれないポイントの多さに愕然とします。

どれだけリアリティをもって準備しておけるか。

「池田小学校事件」は、学校側の対策不足によって被害を大きくしました。
改めてその事実と向き合うと、自分たちの対策の不十分さが施設長の危機管理意識が
研修後半は、各園で実際に行っている災害対策や不審者対策が万全なのかを改めて考え直しました。小規模保育園であるソラーナでは、屋内にいるときには上靴を履いていません。ソラーナほんごうでは、屋外に避難するときのために子どもの靴を入れる靴をまとめて入れる大きな袋を玄関に用意してありますが、「本当に災害が起こった時にはできるか心配になってきた」という施設長も。
「避難するときに足が守られていることは非常に大切。履物を確保する方法を考え直した方がいい」というアドバイスをいただき、屋外に避難するときの靴をどうするかという点を法人全体の課題として考え直すことになりました。

子どもの命を守るという覚悟をする

また、非常時には「泣くない!」と泣き止ませることも必要というお話もありました。普段は泣きたいときには泣けばいいのですが、非常時に保育士の指示が聞こえない状態はとても危険だからです。
子どもの気持ちに寄り添ったり、育ちを大切にすることをフィロスでは大切にしていますが、生きていなくては元も子もありません。「子どもたちの命を守りきる」という強い気持ちが必要であることを再認識しました。

「明日起こるかもしれない」という意識で

「本当に災害が起こった時」は突然やってきます。明日地震が起こるかもしれない、2時間後に不審者が来るかもしれないという意識を職員全員が共有して、各園でひとつひとつの対策を見直していきます。