保育所職員の賃金改善スタート

「保育士9000円の賃上げ」で話題となった賃金改善。

みなさんも興味関心ありますよね?

国の方針については以下のURLよりご覧ください。

https://www8.cao.go.jp/shoushi/shinseido/law/kodomo3houan/pdf/r031223/leaf.pdf

2月から賃金改善をスタートということで色々検討を重ね導入に向け調整してきました。

そこでこれまでの歩みと、その際の注意点についてまとめました。

導入する行政と導入しない行政がある

社会福祉法人フィロスでは複数の自治体で保育所を運営しています。

保育所は市区町村による認可であることが多いため、設置されている自治体によって方針が異なるのが特徴です。

今回も賃金改善を導入するかしないかは自治体によって分かれました。

刈谷市以外で導入

今回フィロスが運営している保育所の中で、愛知県刈谷市での導入が見送られました。

理由としては、もともと愛知県刈谷市の公務員と同等の給与水準に賃金改善をしていたため。

そのため、刈谷市では導入されなかったため、フィロスの運営する刈谷ゆめの樹保育園では導入ができませんでした。

全職員の賃金を改善する方針へ

保育所を運営するには保育士以外にも関わる人がいます。

  • 調理担当者(栄養士・調理師など)
  • 看護師
  • パート職員(有資格、無資格) など

保育士賃金改善のイメージが強いですが、全職員該当します。

そこでフィロスでは全職員何かしらの賃金改善を行う方針にしました。

賃金改善額

正規職員:月額9,000円(施設長以外)

パート職員:保育士・看護師・・・1時間あたり100円
無資格・・・1時間あたり50円

このように設定しました。

年度末に調整があり得る

この賃金改善の財源の算出方法は、園児の数が関わってきます。

そのため、その年度の入園状況により財源が変化します。

そこで毎月の改善額と支給額の差額分を年度末に調整し、支給することがあり得ます。

なので、年度末の調整により園ごとで若干の違いが出てくるのが今回の賃金改善の仕組みとなっています。

賃金改善したからといって手取りが増えるとは限らない

「賃金改善した!やった〜!」と本当になるのか?

もしかしたらほとんど恩恵を受けないようなケースもあり得ます。

それは社会保険料などで引かれる金額が上がることにより実際の手取りがそこまで改善されない場合があること。

社会保険料の算定は階段になっており、おおよそ2万円ずつの階段になっています。

仮に①20万円〜21万9千円の等級と、②22万円〜23万9千円の等級があったとします。

ケース①

現在の給料が21万円の方が9千円改善された場合。

21万+9千円=21万9千円となり①の等級のままです。

ケース②

現在の給料が21万1千円の方が9千円改善された場合。

21万1千円+9千円=22万円となり②の等級になるのです。

結論ケース①の21万だった人の方が手取りが変わらなくなる

この1等級上がってしまうことにより、社会保険料が約1千円上がります。

つまり、もともとあった1千円の差がケース②の方だけ社会保険料の階段を登ることによってなくなってしまうのです。

少し難しいかもしれないですが、今回折角賃金が上がるのでそのことを知っておいてもらえたらと思い紹介しました。

はぐくみ基金を活用して対策

社会福祉法人フィロスでは「はぐくみ基金」という確定給付年金制度を導入しています。

これは銀行の積み立てのようなもので、退職や休職する際に一時金を自分で積み立てる制度です。

この制度を活用することによって先ほどの階段を登らないようなことができます。

もらう給料から積み立て額引いて計算する

先ほどのケース②で見てみたいと思います。

21万1千円の給料でしたね。

そこに9千円の賃金改善がありました。

今回、はぐくみ基金で1千円積み立てたとします。

すると、21万1千円+9千円ー1千円=21万9千円となります。

つまり社会保険料の階段を登らずに済むのです。

社会保険料に1千円引かれていたものを、はぐくみ基金に1千円積み立て自分のお金として残せるのです。

加入できるのは入職後2回まで

この制度は非常に社会保険料や税金の優遇を受けられる制度となっています。

そのため、加入できるチャンスが限られています。

基本的に2回だと思っていてください。

入職した際と、4月がタイミングとしてあります。

このチャンスを逃すと加入することはできなくなってしまいます。

フィロスでは多くの方がこの制度を活用し、実質の手取りを増やしています。

さいごに

今回、岸田内閣になり実行された賃金改善。

それまでは各自治体の努力で改善されてきました。

やっと抜本的な改善に向け動きがありました。

今後も様々な国の改正などがあると思います。

その際はいいものはできる限り迅速に取り入れていきたいと思います。

また、法人独自でもよりみなさんが働きやすい環境の整備に向け取り組んでいきたいと思います。