園児のバス置き去りのニュースを受けて
https://www.mbc.co.jp/news/article/2022090700059187.html
https://news.yahoo.co.jp/articles/2eec1cd5bf68b431d9738e90e113c64e416c1254
9月5日大変心が痛む認定こども園での死亡事故が発生しました。
皆さんもご存知の通り、昨年の夏にも福岡県で同様の死亡事故が起きました。
前回の時と同様国からはこのような通知文が保育園へは回ってきました。
https://www.mext.go.jp/a_menu/kenko/anzen/1416686_00005.htm
今回のことを受けて法人の理事という立場で何を感じたのか。
そしてフィロスではどのような取組をしているかなど書いてみたいと思います。
今回のニュースを受けて感じたこと
フィロスには園バスはない
まずは前提を揃えるためにフィロスの状況についてお話しします。
フィロスには園バスはありません。
そのため、今回のようにバスに置き去りという事故は発生しようがありません。
「だから私たちは関係ない」とは思っていません。
このような危険性は保育のあらゆる場面に潜んでいます。
公園(園外)へのお散歩に潜む危険
https://www.asahi.com/articles/ASQ275CQKPDHDIFI007.html
東京都では保育園の事故(置き去り)について報告を受け付けており、その件数が4年間で94件ありました。
年間約24回あるということです。
東京都には4,033の保育所があります。
比較として新型コロナウイルスで死亡した人と比較して表にしました。
コロナは2.5年分と捉え、置き去り園児数年間24人×2.5=60人とします。
死亡者数 | 日本人の人口 | 割合 |
42,110人 | 1億3000万人 | 0.03% |
置き去り園児数 | 東京都保育所数 | 割合 |
60人 | 4,033園 | 1.4% |
あれだけ騒がれている新型コロナウイルスで死亡した人の割合の46倍で発生する確率があるということです。
つまり保育園を運営する法人としては、これだけ高い確率で発生する危険と隣り合わせで保育をしているということをまずは再度自覚する必要があるということです。
もし、公園に置き去りになった場合、最悪の場合は交通事故などで死亡するということもあり得ます。
それくらい園外に出るということは危険な行為でもあるということを全職員へ再度周知し、各園の園外活動を再度見直し、安全マニュアルの確認・修正をする必要があります。
園内で潜む危険
園外に出ないから安全ということではありません。
子どもは時に大人が想像もしない行動をすることがあります。
例えば、教室から抜け出し、園外へ出て行ってしまうということも可能性としてはあります。
そんな時にも点呼をしていれば早く気が付く可能性があります。
また、夏といえばプールなどの水遊びも非常に危険な遊びの一つでもあります。
他に死亡事故で多いものが、午睡中と食事中です。
これら一つ一つに国や自治体からも安全マニュアルや、記録表などの義務づけがあったりします。
時に保育士の中には、これらの事務作業が負担だという声もありますが、事故を起こさないためにも必要なことの一つであると再度認識する必要がありますよね。
フィロスでの取り組み
散歩時の点呼の徹底
各園様々な形で園外へ行くことがあります。
クラスで行く場合、複数クラスで行く場合。
いろんなケースがあります。
そんな時にまず必要なのが、点呼の徹底です。
「○組○人〇〇公園へ行きます」
そして出発する際は写真を撮っておくと良いという行政からの指導も頂戴したことがあります。
どんな服装か明確にするためです。
公園への経路や安全面のマニュアル作成
各園その地域において園外活動の環境が異なります。
そのため、各園にてどんな公園で、どんな配慮が必要か確認をします。
また道中についてもどんな危険があるか確認しながら散歩ルートを確認します。
私も家庭ではそうですが、公園へ連れて行くと保育士自身がリフレッシュできるという側面もあります。
だからこそ危険な側面があると思っています。
各園で取った行動事例
ここからは各園の事例なども紹介します。
これは本当に一部なので、各園に見学行った際に様々なことで対策などをしているので聞いてみてください。
teamsを使ってすぐに園内共有
シャイニー・キッズ保育園ではフィロスで導入しているteamsというチーム内でやり取りできるチャットツールをフル活用しています。
そこで施設長は事故のニュースがあった日に早速職員へ周知していました。
園バスだけでなく、過去の死亡事故事例を交えながら。
「押し入れに隠れていて熱中症で死亡していた」
まさにこんなのは大人にとっても「そんなことある?」という事例の一つだと思います。
それでも点呼をしていればいないことには気が付くことができたはずです。
こんな情報共有をしていち早く再度危機意識を職員へ芽生えさせていました。
ヒヤリハットウィークの実施
今回の事件を受けて、早速施設長が園内にこのような取り組みをするよう発信しました。
ソラーナつゆはしでは、今一度危険性についてみんなで声を出してみようという活動を開始しました。
職員の中にはもしかしたら、「これって大丈夫?」と思っていることがあるかもしれません。
なので施設長がこのような活動ウィークを設定することで声を出しやすくする空気づくりはとても大切ですよね。
さいごに
フィロスでは「やりたい!たのしい!子どもが主役」という保育スローガンを掲げて保育をしています。
でも間違ってはいけないのは、「命」が何よりも大切であるということです。
なぜなら亡くなってしまっては成長しようがないですからね。
私も我が子を一瞬のうちに見失ったことがあります。
幸いイオン内ということもありすぐに発見することができました。
また、小さい頃自分自身迷子になった経験もあります。
家庭という小集団でも子どもの咄嗟の動きにより見失うことがあり得るのです。
だからこそ、私たち保育園を運営する立場として、常に安全面というのは念頭に置き、子どもたちの成長のサポートをする必要があります。
今回の死亡事故について他人事だとは思わず、一人一人が自分のできる範囲のところで最善を尽くすことが大切だと考えます。
すべては子どもたちのために。
それは結果として自分を守ることにもつながります。
ぜひみんなで気がついたことは声を掛け合い、このようなことが2度と起きないようにしていきましょう。

社会福祉法人フィロス理事兼経営企画室長
採用に関すること。
保育所運営に関すること。
研修に関すること。
働きやすさに関すること。
こんなことをやっています。