園長インタビュー もりの風こども園

フィロス全施設の中で、一番初めに開園したもりの風こども園(当時はもりの風保育園)。自然に恵まれた環境と、広い敷地の中で、子どもたちはのびのびと過ごしていますが、その裏には試行錯誤しながら環境整備に奮闘する先生たちの姿がありました。(聞き手:法人本部 成瀬)

もりの風こども園はどんな保育園?

もりの風こども園は、名古屋市内にあるにもかかわらず自然が近くにあります。園舎も特徴的で丸い形(ドーナツ型)になっています。園児は毎年130人くらいで、フィロスの保育園の中では一番大きな園です。職員数も最も多く、パートの先生も含めて30名ほどになります。

子ども主体の保育とは?

健やかな心身と生きる力を育むというフィロスの理念に則って、健やかな体を作るということに力を入れています。足指、足を育てる取り組みはこれで4年目になりますが、毎朝わらべ歌と一緒に足の指をほぐしてから、一日の活動を始めています。また、室内ではなるべく裸足で過ごすようにしています。足に合わない靴を履くことによって足の指が変形することがあるそうで、まっすぐな指を育てるために、現在は室内では年中裸足で過ごしています。

健やかな身体は、新しいものに挑戦しようという意欲にもつながります。例えば、おむつが外れると活動が変わってくる、筋力が付いてくるとロフトに挑戦してみたくなったりする。体が育つと心も育つんですよね。ここ数年で子どもたちを見て感じているのは、やっぱり心と身体は切り離すことができないということです。

遊び場としては、お部屋の中だけでなく、屋上(園庭)や、もりの小道、もりの広場があります。あと意外なところで玄関前のアスファルトのアプローチで遊ぶこともあります。昨今なかなか道路でチョークで描いて遊ぶなんてできないですが、絵を描くのが苦手な子でもチョークだと開放感があって描くことを楽しむことができます。いろんなところに遊び場があって、できるだけ子どもの意思を尊重したいのですが、やっぱり安全面と職員配置の問題があるので、例えば、「今日はお部屋か、屋上か、もりの小道だよ」とアナウンスして、そこから子どもたちが選んで行きたいところで遊ぶという活動を行っています。

週に何回か、外部講師の先生の、体を動かす体操レッスンとか、英語レッスンもあるんですが、その時間以外は基本的には遊びが中心です。

開園当初から今のような保育スタイルでしたか?

ちがいました。11年前、2012年の4月に開園したんですが、そのころは保護者からは習い事をたくさんさせてくれる、幼稚園のような保育園という評価を受けていたんです。

一斉型の保育をしながらも、フィロスの保育理念や子どもの最善の利益を考え直したり、先生たちとも話し合いを重ねる中で、一斉にみんなで何かをする楽しさもあるかもしれないけど、子ども自身がいろいろ考えたり、工夫したりする余白を持たせるような時間や空間を準備するのが大事なのでは、という結論に至ったんです。いろんな園を見に行って、いわゆるコーナー保育を取り入れることにしたんですが、年齢別クラスの中でコーナーを作るとなると小さなコーナーにしかならないので、保育室の壁を取り払って、3、4、5歳児が一緒に過ごす空間を作ることになりました。もりの風こども園の大変革でした。

壁を取り払ったのが2019年、そこから今年で4年目になります。80人近い子どもたちが一斉に生活をするというのは、とても挑戦的な試みでした。3歳児と5歳児が一緒に生活するという中で、お互いは最初はストレスがあったりしたんですが、4年目に入って今の5歳児が3歳児の時には5歳児にお世話をしてもらったという経験があるので、今の5歳児は自然に3歳児の面倒を見る姿があります。

園長としてどんな思いで保育園を運営していますか?

乳幼児期の教育がどれだけ大事かというのを最近改めて感じています。私たちの日々の保育というのは、評価されづらい、点数化されない仕事ですよね。例えば、0歳児とか1歳児の頃には、先生たちは本当に心も体もよく使って動いて、子どもたちのためにと日々腰を痛めながら頑張るんだけど、5歳児になる頃には忘れてたりするじゃないですか。あんなにお世話したのにと。でも忘れさられてしまったとしても、いいんです。泣いたときに抱っこしてもらったこととか、優しく背中を触ってもらったこととか、そういうことって子どものおなかの下に、潜在意識っていうのか絶対に残ってるんですよ。「困ったら助けてくれる人がいる」、「私は私、大丈夫」という自己肯定感の根っこみたいのを育てているんだと思うんです。根っこは見えない部分ですが、根っこがしっかり張っていれば倒れないですからね、大人になっても。すごく大事な仕事を担っているんです。

保育は人なり。やっぱり人間を育てるのは人間であって、いくらAIが発達しようが人を育てる営みは人にしかできないこと。今後ずっとなくなることがない人間の仕事です。先生たちには常々言うんですが、先生たちがかける言葉がけ一つ、先生たちが向けるまなざし一つで、子どもがハッピーにもなるし、ダークにもなるんだよと。だからこそ、先生たちにはいつも穏やかでいてほしいし、先生たち自身も幸せでいてほしいし、そこは保育をする上で大事なことだと思っています。

職員の様子や職場の雰囲気は?

割といろんな年代の職員がいて、中でも20代が一番多いです。担任はすべて複数担任制で一人でやることはないのですが、ここ数年は3、4年目くらいの若手の先生にリーダー(主担任)をやってもらって、中堅や40代50代の先生がサポートするというスタイルをとっています。ポジションが人を育てるというのはありますね。少し心配でもやらせてみると育つし、ベテランの先生がうまくフォローしてくれるんですよ。若い先生でも自分の意見を話しやすい雰囲気もありますし。

また、開園して10年がたち、生え抜きの先生たちの中に出産して復帰している先生が増えてきました。出産して復職しても、小さい子どもがいるうちは一時的ですが第一線にいることが難しくなります。結婚したりお子さんを生む前にリーダーを経験してもらっておくことで、いざ出産して復帰してリーダー(主担任)をサポートする側にまわるときに、リーダーの気持ちがわかってフォローしやすいというのもあります。

休憩は、食事と休憩で1時間取っていただいています。寝たい人は寝ています。地下に休憩室があるのがうちの園の一押しポイントです。職員室で休憩取っている先生もいて、そういう先生は休憩取りながら今日こんなことがあってさ、なんて話をしたりしています。

時短の先生は特に退勤時間であがれるように、周りの先生たちも配慮する様子があります。お互い様という感じで若い先生たちを支えるのは中堅の先生ですが、中堅の先生たちも子育て中は周りの先生たちに協力してもらったりしていましたから。子どもが熱が出たからと急きょ早退することになっても、嫌な顔をせずに「いいですよ、帰ってください!」って。「お互い様」という空気ができているので、みなさん結婚しても出産しても戻ってきてくれます。現在育休中の職員が2名いて、二人が戻ってくると育休から復帰した職員は合計4人になります。さらに、もうすぐもう一人産休に入ります。休みやすい雰囲気を園全体で作っていっているので、若い先生たちも文句言わないですし、すてきだなと思っています。気持ちよく送り出してくれて、本当にありがとうねって。

逆に、若い先生たちも、1年目2年目のときには仕事に慣れていなくて体調を崩したり風邪をもらったりしやすいんです。そうすると、ベテランの先生たちが気づいて、ちょっと調子悪いんじゃないって声をかけてくれたりする。自分では言いだしにくいですからね。そういう時には、休んだり早く帰ったりできるようにしていて、とにかくみんなで支え合っているんです。

そして、何よりもうちの職員がステキだなって思うのは、向上心が高いこと!学ぼうとする気持ちが強いというか、このままでいいとは思っていないというか。常に常にもっといい環境はないのかと考えながら、子どもが困ったら、どうしたらいいんだろうって、すぐに環境を変えるという。フットワークが軽いというか。「私があなたたちの時は何にも考えずに保育してたのに、あなたたちは毎日考えてる、ありがとう」と伝えています。

保育の仕事を探している方へメッセージ

ピアノが苦手とか、書類を書くのが苦手、という方がいらっしゃいますが、もりの風こども園では全く心配いりません。基本的に一斉保育ではないので、必要な場面が少ないです。5歳児くらいになるとみんなで一緒に歌を歌ったりという時間もあってピアノが必要な場面もありますが、得意な人が弾けばいいと思っています。それぞれ得意なことを発揮してくださればいいんです

書類についてはきちんと教えます。主任がものすごくていねいに教えますので、書類が書けないからという不安も抱えなくて大丈夫です。

一番大切だと思うのは、まじめで素直であることです。努力してくださる方だったらちゃんと成長します。まじめな人だったら大丈夫です。

ぜひ一度もりの風こども園に見学に来てください。

お待ちしています。

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