園長インタビュー ゆめの樹保育園ほどがや

年齢の違う子どもが一緒に過ごし、子ども同士で学び合うことを大切にするゆめの樹保育園ほどがや。保育の特色や自慢の取り組みをふまえて、園長佐々木が「遊びの中から学ぶ」をどう考えているかをお話しいただきました。(聞き手:法人本部 成瀬)

ゆめの樹保育園ほどがやはどんな保育園?

園児の定員は60名で、今年は60人のお子さんをお預かりしています。ほどがやが開園して今年で7年目。今年初めて定員いっぱいになりました。

大事にしているのは、「遊びの中から学ぶ」ということです。0歳児から5歳児、言葉がまだ未発達なお子さんから就学前のお子さんまで、「遊び=学び」であると考えています。

保育内容や特徴は?

0、1歳児は、ゆるやかに育児担当制を行っています。0歳児から育児担当制で育ったお子さんたちが年長になって2年経つのですが、丁寧な関わりをしてきたからこその心の育ちを感じています。ゆるやかな、というのはあえてゆるやかにということを意識しています。あまり決めつけすぎてしまうと、窮屈になったり、自由度が制限されます。お子さんは日々成長していくので、成長や発達、興味関心によってクラスの枠にとらわれないで柔軟に対応するようにもしています。

2歳児は乳児と幼児の間にあって、心と身体の成長が著しい年齢なので、しっかりと手と目と心をかけて、それぞれのお子さんの育ちの状態にあった保育を提供するように心がけています。

3歳児から5歳児の幼児は、異年齢児保育を行っています。異年齢児保育の良さというのは、大きいお子さんの遊びや生活習慣を小さいお子さんが見ることで、生活の中で自然に下の年齢層に経験と学びが伝わっていくことだと思います。お子さん同士で学び合えるという環境。学びといっても、机に向かって数字や文字などの学習をするということではなく、感覚的な部分で心の育ちというところが実は一番大事なんです。

また、子どもの遊びの保証を大切に考えており、コーナーごとで遊びを選択できるようにしています。お子さんの興味や成長段階は変わるので、定期的に振り返りを行って見直しています。また、例えばみんなで園庭に行くとか散歩に行くとなったときに遊びを中断しないといけないことがありますが、その時にやっていた遊びを保管しておけるように一人ひとりの専用の場所を作っています。金曜日には一旦片付けるルールなのですが、それまでは作っている途中のブロックや積み木、制作などを保管しておいて、自由遊びの時間には続きから取り組める。そういうことも遊びの保証と考えています。

ほどがや自慢の取り組みがあるそうですが?

年長児は自分のお誕生会で自分自身をプロデュースして、保護者に披露するという取り組みを行っています。いわゆる発表会のような保育士が考えたり教えたりするというものでは全くなくて、お子さんがやりたいことを保育士がとことんサポートして実現するという形です。ドレスを着て披露したり踊ったり、得意なことを見せたり、みんなのために手作りおもちゃを作ったお子さんもいました。お誕生会当日までにどんなことを発表するか、そのためには何が必要かを考えて、衣装を作ったり必要なものを用意したりするのですが、先生たちがお子さんの「やりたい」というところを汲み取って叶えるためにサポートするという、保育の基本中の基本を一人ひとりきっちりやる。お子さんのための取り組みですが、先生たちにとってもものすごく学びになります。年長児だからこそできる最後の集大成。究極の「子どもが主役」です。

さらに、その何週間かの過程を一人ひとりのドキュメンテーションにして、どなたにでも見ていただけるように貼りだしています。スタートのところから、子どものつぶやきがあったり、悩んでる姿があったり、先生と一緒にパソコンで調べて作ったりしている様子があったりします。その過程こそ、大切ですからね。

園長としてどんな思いで保育園を運営していますか?

フィロスの保育理念である「やりたい」とか「楽しい」は、もちろん子どもにとってということですが、大人に対しても同じだと思います。保育には正解がありませんが、そういう意味では失敗もないと思っているので、必要とされていることは何かを考えて決断して実行して、そしてダメだったら変えればいいんです。人として良くないことはやりませんし、命にかかわることの予測はしないといけませんが、そうでない部分は失敗も失敗ではなく、それも「学び」と「経験」だと考えています。

そして、いつも何か考えるときに基本にしているのは、「この遊びはどういう学びになるんだろう」ということです。そこの部分はブレないように、先生たちとも考えるようにしています。

先生たちが挑戦したエピソードを教えてください

夏にはダイナミックに絵の具や氷を使った遊びをすることも多いですが、部屋も服も汚して思いっきり遊んだら、子どもたちが自ら雑巾を持ってきて片付け始めたことがありました。保育士がお願いしたわけでもないのに。濡れないように、汚さないように、なんて活動していたらそこには至らなかったかもしれないですよね。思いっきり汚して遊ぶ!という挑戦が、思わぬ活動を生んだ事例です。

やり過ぎて床から水漏れしてしまったこともありました(笑)が、その経験から担当した先生だけでなく他の職員の学びにもなりました。でも、大人もお子さんも体感した学びはやっぱり違います。だから臆することなく、勇気を出して挑戦してもらいたいなと思います。

職員の様子や職場の雰囲気は?

職員はおだやかな先生たちが多くて、落ち着いた雰囲気です。男性の保育職員も3名います。

業務の効率化のために、去年ICTを導入しました。パソコン作業に慣れなかったり、苦手意識の強い方もいるので、事務作業をするときにはできるだけ保育室から出て、集中して作業に向かえるよう主任も声をかけたりしています。

休憩や有休は私が積極的に取るように話しています。有休はここ数年は園全体で平均すると持っている有休の7割以上を消化している計算になります。

また、初年度からいる先生が2回目の育休に入っていますし、園長の私も介護休暇を取らせてもらったりしています。家族などプライベートと仕事がバランスよく両立できる職場環境ですよ。