子どもが自分で考える力を引き出すには?!日常も行事も、「子ども主体」の視点で見直し中

今年、大きな変革に挑戦している刈谷ゆめの樹保育園。
保育園では当たり前とされていることを「子ども主体」の視点で見直して、改革を進めています。子どもが自分で考える力を引き出すにはどうしたらいいのか。刈谷ゆめの樹保育園の新しい取り組みを取材しました。(法人本部 成瀬)

運動会はだれのため?!

今年(2022年度)、刈谷ゆめの樹保育園では保育のさまざまな見直しを行っています。例えば行事も、5月の子どもの日から始まり、七夕、運動会と、その行事がなんのためにあるのか、何のためにどんなことをやるのかという点を改めて考え直しました。すると、保護者の満足度や慣習など子どもの育ち以外の目的でやっている部分が意外と多くあることに気が付いたそうです。すべてをイチから見直し、子どもたちと一緒にどんなことをやるかを決めることになりました。

10月に行った幼児さんの運動会では、話し合いの末に、大玉転がしと逃走中(おにごっこ)をやることに決まりました。ルールを決めたり、保護者にハンター役を依頼したり、大玉転がしの大玉や入場門、保護者への招待状も子どもたちが試行錯誤しながら自分たちで制作しました。ちなみに、今年の運動会は「にじにこかい」というそうで、このイベント名も子どもたちが意見を出し合って決めたそうです。

入場門制作中 しっかり自立するまでに試行錯誤がありました
大玉ころがしの玉制作中 転がしてみたら壊れてしまったり・・・
当日の音響も子どもたちがやるそうです
自分たちで作った大玉 なんとも満足げな表情ですね

また、未満児さんの運動会は年長児さんのプロデュースで行われるとのこと。未満児さんがどんなことができて、どんなことが楽しいのかを想像しながら運動遊びを考えたり、コースを作ったり道具を用意したり・・・。取材に行った日は練習している様子が見られましたが、段ボールの箱に入って移動する場面では、0歳児さんが怖がらないようにゆっくり箱を押す年長の男児のやさしいまなざしが印象的でした。

司会進行、BGMの操作も年長児が行います
やさしい気持ちが伝わっているはず

運動会当日はゴールではない ドキュメンテーションでプロセスを開示

刈谷ゆめの樹保育園にはいたるところにドキュメンテーションが掲示されています。できあがった作品や行事当日の様子はもちろんすばらしいですが、それ以上に大切なのはそこまでに至るプロセス。子どもたちが悩んで、ひらめいて、うまくいかなくて、やり直して、と試行錯誤する様子こそ保護者に伝えたいという思いがあるのです。

子どもの主体性にゆだねるということは、保育者の側に辛抱強さが求められることでもあります。運動会などの行事は日程があらかじめ決まっていることもあり、間に合うのかと焦る気持ちがあるのでは?と先生方にお聞きすると、「運動会当日がゴールではないですから」とのこと!通過点に過ぎないと考えることで、子どもたちもじっくり取り組めるようです。

刈谷ドキュメンテーション
階段に貼られたドキュメンテーション
運動会当日までの紆余曲折がていねいに書かれています

乳児クラスでは「流れる保育」に挑戦

保育が大きく変わることになった最初のきっかけは、乳児クラスだったそうです。

それまで、刈谷ゆめの樹保育園では子どもたちは一斉に園庭に出て、一斉に部屋に戻って、一斉に手を洗って、一斉に給食を食べて・・・とみんなで一斉にやっていたのを、他園の情報を聞いて変えてみたのです。

おなかが減った子どもから部屋に入って、食べ終わった子どもから昼寝をする。「流れる保育」と呼ばれたりもしますが、一人ひとり異なるリズムに合わせて生活することで、逆にゆったりと過ごせるようになりました。まだ遊びたいのに遊びを切り上げさせたりする必要もないし、手洗い場が不必要に混み合ったりすることが少なくなったそうです。さらに、食事の配膳や着替えの支援に保育士がバタバタすることも減ったそうです。

他のクラスの先生たちも影響を受けてさまざまな部分で見直しが始まり、今に至るということでした。この後予定している発表会も、いわゆる保育士が教え込んだことを披露する従来のやり方ではなく、子どもたちがお父さんお母さんに見せたいものは何か、という視点で子どもたちが話し合いを重ねているそうです。

「発表会」で何をやるかを話し合う年長の子どもたち
堂々と手を上げる姿が凛々しい!

フィロスの保育園では、日々保育の改善を行っています。

当たり前を見直すのには、労力が必要です。人手が不足気味の保育現場であればなおさら。目の前の子どもたちの対応で手いっぱいになりがちです。

フィロスでは、改善のための余力が生まれるように法人本部が保育士の働く環境の整備をサポートしています。ぜひ働きやすさの取り組みについてもお読みください。

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