福岡の保育園の死亡事故から考えるべきことは何か?

みなさん、福岡の保育園での死亡事故のニュースを見てショックを受けたことと思います。
私もその中の一人です。
今回の件に関しては、保育関係者だけでなく、広く話題になっています。

このようなことは絶対あってはいけない。
かといって、その園のことを憶測だけで批判するのもいけないと私は考えます。

今私たち保育従事者が行うべきことは何なのか?
それを今日は書き綴りたいと思います。

安全、安心が土台

保育園だけでなく、幼稚園を含む幼児教育には、様々な教育手法があります。
しかし、私たち保育従事者は保護者に代わって命を守り切ることが一番大切なことです。
命を落としては成長はないわけですから。

なので、私たちはどんな子どもに育ってほしいも大切ですが、
保育園の中の生活において、命の危険性をいかに排除するかを改めて見直さなければなりません。

年間10人前後の死亡事故

内閣府のデータを参照すると、年間死亡事故は10人前後発生しています。
最近は減少傾向にあります。
この数字を多いと捉えますか?少ないと捉えますか?

ここは多いと捉えてください。
絶対に起こしてはいけない事故ですから。

このデータからわかる注意すべきポイントはいかの通りです。

  1. 死亡事故は0,1,2歳児で起きている。
  2. 睡眠中の死亡事故の割合が高い。
  3. 死亡要因は窒息の割合が高い。

この上記の結果がデータから読み取れます。
ではどの活動に注意すべきか見ていきましょう。

食事・睡眠・プールを見直そう

死亡事故が発生した状況や、死亡要因から考えます。
すると「食事・睡眠・プール」の活動が要注意。

  • 食事中にのどに詰まって窒息死
  • 睡眠中にうつぶせ寝で窒息死
  • プールで溺死

死亡事故のほとんどがここに当てはまります。
では、どうするべきか考えていきます。

一人で保育をしない体制づくり

今回の記事を書こうと思ったきっかけの事故。
これの大きな問題が園長1人で送迎していたということ。

私も街中で乳母車に園児を乗せて保育士一人で散歩しているところを目にします。
もし、1人に何かあったら誰が子どもを守りますか?
保護者からお預かりした大切なお子さまの命を守り切ることができますか?
フィロスでも今一度確認し徹底したいと思います。

一人で保育をしない体制づくりは本当に大切です。
睡眠においてはICTの力を借りるということも一人で保育をしないという枠組みに入れられるのではないでしょうか?

私がにじの花保育園で園長をしていた時、ルクミー午睡チェックを導入しました。
うつぶせ寝をしていたらアプリでアラートを鳴らしてくれます。
人ではない力を借りることも一人ではない保育体制の一つの方法としてぜひ検討していただきたい。

プール遊びにおいても、一緒に遊ぶ保育士と、監視員としての保育士を分けて配置しているか?
こういう体制を整えることも事故を防ぐことに繋がります。
ここも再度見直さなければなりません。

一人で保育をしないことが他にも好影響をもたらす

保育の悪いニュースの一つにわいせつ事件があります。
これは一人で保育をできてしまうからこのような事件が発生しやすくなると私は考えます。

わいせつだけでなく、虐待はどうでしょうか?
今回の福岡の事故でも、子どもから「園長に嫌われないように」という言葉がありました。
このような虐待も一人だと事件が発生しやすくなるのではないでしょうか。

一人で保育をしない体制をつくることにより、わいせつ事件や、虐待などを防ぐことができます。

もちろん子どもと二人っきりになる援助もあります。
その時も他の職員が「気」や「声」で関わることができます。

そうやって複数の目で様々なものを捉えることが大切だと私は考えます。

社会福祉法人フィロスでは、「フィロスの約束」というものがあります。
これは男性保育士ガイドラインをつくろうということでできたものです。
結果的に男女関係なく上記に合った一人で保育をしないことなどが書かれています。
こちらも再度各園で見直し、凡事徹底しなければなりません。

さいごに

今回私は保育について今一度みんなで見直さなければならないと強く感じました。
今一度自園での保育を見直す話し合いの場を提案して欲しい。
それは経験年数に限らず、「これは?」と思ったことをまずは口にしてみること。

一人で誰もいない車に残され、刻々と暑くなる社内。
子を持つ親として二度とこんな事故は起こしたくない。

身近なところでできる改善をみんなで行うこと。
その一つが職員会などで保育を見直すこと。

そして、業界としては、待機児童対策だけでなく、保育の質向上に向けた取り組みを推進すること。

短期間でできることと、長期間かけなければできないこと。

そうやって整理して全員で今できることからやっていきましょう。